AI時代に求められるスキルを身に付ける
「AIが人間の仕事を奪う」という議論が盛んです。しかし、少なくともほとんどの企業のコミュニケーション部門において、人間の従業員が不要になるというのは、かなり誇張された見方だと、新たな調査が示しています。
(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2026年4月15日に公開された記事「To stay relevant in the AI age, develop these skills」の日本語訳です)
企業幹部向けの非営利シンクタンクThe Conference BoardとBowen Craggsが共同で実施した最新の調査では、企業コミュニケーション部門の幹部の21%が、AIの影響によってチームの規模が縮小すると予想していました。一方で、9%は、この変化に対応するために、より多くの人材が必要になると回答しました。
調査データをさらに詳しく見ると、AIがコミュニケーション業務で担う役割が拡大するなかでも、人間ならではのスキルがますます重要になることが示されています。とはいえ、重視されるスキルの組み合わせは急速に変化しています。

Bowen CraggsとThe Conference Boardによる調査データで、「企業コミュニケーション担当者にとって今後最も重要となるスキルは?」という質問に対する回答をまとめたグラフ
企業のコミュニケーション担当者が知っておくべきこと
- 「判断力」が、今や最も重要な能力です
- 企業のコミュニケーション分野において、推論・意思決定・戦略的思考は、特に重要性が高まっている能力です。AIは情報を収集・提示しますが、その情報が何を意味するのかを判断するのは、人間のコミュニケーション担当者です。
- 人間との関係が、今もこの仕事の本質です
- 「Relationship building and emotional intelligence:人間関係の構築とエモーショナルインテリジェンス(心の知能指数)(50%)」および「Human communication and interaction:人間によるコミュニケーションと交流(46%)」は、コミュニケーション担当者にとって引き続き不可欠なスキルです。ある最高コミュニケーション責任者(CCO)は、「コミュニケーション担当者とは、友情を基盤とする職業です」と述べています。つまり、偽りのない人間同士のつながりは、単に「あれば望ましいもの」ではなく、競争優位性として捉える必要があります。
- AIリテラシーは、すでに基本要件です
- 「Using general AI tools (ChatGPT, Gemini, Perplexity):一般的なAIツール(ChatGPT、Gemini、Perplexityなど)の活用(76%)」や、「Using specialised AI tools/software:専門的なAIツール・ソフトウェアの利用(52%)」は、コミュニケーション部門のリーダーが「重要性が高まっているスキル」と回答した上位5項目に入っています。AIを使いこなす能力は、もはや必須となりました。ただし、優れたコミュニケーション担当者を際立たせるのは、AIの出力に対して適切な判断を下せるか、という点です。
- コンテンツ制作の実務は、AIへ移行しつつあります
- 「Data analysis:データ分析(24%)」、「Maintaining voice and tone:ブランドの語り口やトーンの維持(14%)」、「Creative output:クリエイティブ制作(12%)」などは、少なくとも一部がAIに委ねられる可能性が高いスキルです。これに伴い、人間の役割はこうした作業を自ら実行することから、「AIへの指示」「成果物の評価」「品質の管理」へと移行していきます。
最後に
この調査から、意思決定を担う上層部にとって、コミュニケーションに関する専門知識の価値は低下しつつある、ということが分かります。こうした状況を踏まえると、企業のデジタルコミュニケーション担当者は、AIに関する知識を積極的に習得すると同時に、批判的で創造的な意思決定能力を発揮していく必要があります。前向きに捉えれば、少なくとも近い将来に、この仕事が退屈なものになる可能性は低そうです。
この調査のさらに詳しい情報: The Conference Boardが実施した本調査には、北米とヨーロッパのマーケティング・コミュニケーション部門のシニアリーダー、約100名が参加しました。この中には企業コミュニケーション部門のシニア担当者50名が含まれています。Bowen Craggsはナレッジパートナーとして、本調査の実施と考察の作成を支援しました。